ハント監督を迎えてのQ&Aは、作品の終了と共に沸き起こった拍手の余韻を残しつつスタートした。
まず、林
加奈子東京フィルメックスディレクターから、「脚本を執筆するために、リサーチにかけた時間や、実話とは別に脚色したエピソード」について質問がされた。
ハント監督は「実際に背景となる状況があり、アイデアはそこから生まれてきた。保留地を媒介にして起きる様々な出来事がアイデアとなっている。その地域に住んでいる人々のドキュメンタリーとしての要素もある」と語った。
また、凍りついた川を車で渡るシーンが多く登場するが、撮影実現に至った経緯については
「近くの大学に氷の専門家がいて、氷の厚さと安全性について、きちんとレクチャーを受けた。また、技術スタッフ自身も研究してくれた。私自身が母親であるからこそ、キャストのリスクには最大限の注意を払った」とアイデア実現のためには、入念な準備を要したことも明かした。
Q&Aでは、上映後に沸き起こった拍手の余韻からか、客席からの挙手が相次いだ。
まずは作品のキーワードである『母性』に絡めて「なぜ父性ではなく、母性を強く打ち出したのか?」との質問がされた。脚本を書き始めた段階では、母性ありきではなかったと前置きし「元々のテーマは、境遇の違う2人の女性が、ひとつのことに連帯できるかが重要だった。でも仕上がった脚本を読み返してみて、2人の連帯の要が『母性』であると気づいた」と、脚本完成までのプロセスを語った。