第34回東京国際映画祭のクロージングセレモニーおよび審査委員記者会見が8日、行われた
。最高賞に当たる「東京グランプリ/東京都知事賞」にはカルトニア・クラスニチ監督の『ヴェラは海の夢を見る』が選出された。
受賞結果
東京グランプリ/東京都知事賞:『ヴェラは海の夢を見る』カルトリナ・クラスニチ監督
審査員特別賞:『市民』テオドラ・アナ・ミハイ監督
最優秀監督賞:『ある詩人』ダルジャン・オミルバエフ監督
最優秀女優賞:『もうひとりのトム』フリア・チャベス
最優秀男優賞:『四つの壁』アミル・アガエイ、ファティヒ・アル、バルシュ・ユルドゥズ、オヌル・ブルドゥ
最優秀芸術貢献賞:『クレーン・ランタン』ヒラル・バイダロフ監督
観客賞:『ちょっと思い出しただけ』松居大悟監督
「アジアの未来」作品賞:『世界、北半球』ホセイン・テヘラニ監督
Amazon Prime Video テイクワン賞:『日曜日、凪』キム・ユンス監督
Amazon Prime Video テイクワン賞審員特別賞『橋の下で』瑚海みどり監督
審査員たちが総評
コンペティション部門の審査委員長
イザベル・ユペール
今年の映画祭について「映画祭のミッションとしては、世界で起こっていることをいろんなところに広げていくというミッションがありますが、今回はそれが上手くいったと思っています」と感想を述べた。
ローナ・ティー
私たちはさまざまなところから作品を観ていき、複数回時間を設けてあらゆる映画の要素を細かく観ていきました」と付け加えたあとで、松居大悟監督作『ちょっと思い出しただけ』で池松壮亮と共に主演を務めた伊藤沙莉について「私は伊藤沙莉さんがとっても好きでした。観客として彼らに恋をしたし、観客賞を受賞したのはすばらしいことだと思っています」と笑顔で2人を称えた。
審査委員として青山真治
今回、コンペティション部門の映画しか観れませんでしたが、アジア映画が伸び悩んでるんじゃないかと思っちゃった。でも、よく考えたらアジア部門があったり、東京フィルメックスでは、盛況なアジア映画が上映されていたんです。だから、アジアという枠組みを取っ払うというか、アジア映画がもっと世界でもまれたほうがいいのかなと。それを一番感じるのが日本映画ですが、もまれることで日本映画がもっと変わるかも、とも思いました」とコメント。
観客賞を受賞した松居監督
誤解を恐れずに言うと、観客賞は一番うれしいというか、映画はお客さんに観てもらって完成するという意味で作っているので。また、これまで東京国際映画祭に3回参加したことをすごく思い出しました。座ったままクロージングを見届けて、自分じゃない人に拍手してからの帰り道が忘れられなくて。でも、そういう景色があったからこそ、映画を作ってこられた気がします。今日はいい帰り道かもしれないけど、調子に乗らないようにしようと思いました」と身を引き締めた。